大田区出身のアーティスト　SEKAI NO OWARI

セカイノオワリと大田区——世界のはじまりはローカルから

セカイノオワリと聞くと、誰もが思い浮かべるのは、幻想的なライブ演出や独特の世界観。彼らの音楽はどこか非現実的で、夢のような物語を聴かせてくれる。でも、その“世界のはじまり”が、東京の大田区という身近な場所にあることを知っている人は意外と少ないかもしれません。

セカオワの原点は、ボーカルのFukaseが地元・大田区で仲間たちと作り上げた小さなライブハウス「club EARTH」。ここは彼らのすべての出発点でした。もともとは彼の自宅の地下室を改装した手作りの空間で、仲間たちと音楽を奏で、語り合い、夢を描いた“秘密基地”のような場所。
後に彼らが発信する「世界の終わりから始まる物語」というコンセプトは、まさにこの地下空間での体験から生まれたものだと言われています。

大田区は自分の世界の原点

大田区という土地は、都心の喧騒から少し離れた場所にありながら、人情味があって下町の空気も残る地域。羽田空港にも近く、さまざまな文化が行き交うエリアでもあります。そんな土地柄が、セカオワの音楽に流れる“人間らしさ”や“多様性の受容”といったテーマに自然と繋がっているように感じます。彼らの音楽には、都会的で洗練されたサウンドの中に、どこか温かみのある優しさが共存している。それは、地元・大田区で培われた感性なのかもしれません。

Fukaseは過去のインタビューで、「大田区は自分の世界の原点」と語っています。地元の風景、友人たち、そして音楽に救われた日々。そのすべてが、現在のセカオワの物語を形作っているのです。たとえば「RPG」や「スターライトパレード」のような曲に感じる“少年の夢と孤独”のモチーフも、あの地下のclub EARTHから始まった青春の延長線上にあります。

大田区の世界観

いまやセカオワは世界的にも評価されるアーティストへと成長しましたが、彼らの中には常に“大田区の空気”が流れています。地元の路地裏で感じた風、夜空に浮かぶ飛行機の光、仲間との語らい。そうした何気ない日常の断片が、ファンタジックな世界観の裏側に確かに息づいているのです。

音楽が人の心を動かすのは、派手な演出や壮大なテーマだけではありません。地元の小さな地下室から生まれた一つのバンドが、自分たちのルーツを大切にしながら世界へ羽ばたいていく――そのリアルな物語こそ、多くの人がセカオワに共感する理由なのかもしれません。

彼らの“セカイ”は、決してどこか遠い場所にあるわけではない。大田区の一角から、今も静かに始まり続けているのです。