東京湾の風を感じる小さな駅 ― 昭和島駅を歩く
東京モノレールに乗って羽田空港へ向かう途中、「昭和島」という駅名を目にしたことがある人は多いかもしれません。しかし、実際に降りたことがある人は意外と少ないのではないでしょうか。昭和島駅(しょうわじまえき)は、東京都大田区昭和島にある東京モノレールの駅で、開業は昭和39年(1964年)。東京オリンピックの年に誕生した、まさに“昭和の名を冠した”駅です。
工場と倉庫の島にある静かな駅
昭和島は、もともと東京湾の埋め立てによって誕生した人工島です。周辺には大手企業の物流センターや倉庫が立ち並び、駅周辺はビジネスライクな雰囲気が漂います。一般の住宅や商店はほとんどなく、駅を降り立つと、すぐに聞こえるのはモノレールの走行音と、海から吹き抜ける風の音。喧騒から離れた静けさが印象的です。
昭和島駅は、実は東京モノレールの運行拠点ともいえる場所。ホームの南側には「昭和島車両基地」が広がり、日々モノレール車両の整備や点検が行われています。基地が併設されているため、早朝や深夜にここで折り返す列車もあり、鉄道ファンにとっては隠れた見どころの一つです。
ホームから見える羽田空港と東京湾
駅のホームは高架構造になっており、晴れた日には東京湾の水面がきらきらと輝くのが見えます。さらに遠くには羽田空港の滑走路が望め、離着陸する飛行機の姿を間近に見ることができます。電車と飛行機、そして海――昭和島駅は、東京の交通を象徴する風景が一度に味わえる場所なのです。
また、駅の東口を出て少し歩くと「昭和島公園」があります。緑豊かなこの公園は、ランニングや散歩を楽しむ地元の人たちの憩いの場。野球場やテニスコートも整備されており、週末にはスポーツを楽しむ姿が見られます。羽田空港に向かう途中でちょっと寄り道して、飛行機を眺めながらのんびり過ごすのもおすすめです。
昭和島駅に込められた“昭和”の記憶
駅名に「昭和」という時代を冠しているのは珍しく、どこか懐かしさを感じさせます。駅周辺の風景は現代的ですが、名前を聞くだけで、かつての東京湾岸の開発や高度経済成長期の息吹を思い起こさせます。
昭和島駅は、観光名所のような華やかさはありません。しかし、東京の物流や交通を支える重要な拠点として、今も静かにその役割を果たしています。訪れてみると、都市の裏側を支える「縁の下の力持ち」としての東京を感じることができるはずです。
羽田空港へ向かうモノレールに揺られながら、「次は昭和島」というアナウンスが聞こえたら、ぜひ一度降りてみてください。そこには、昭和から令和へと続く東京の時の流れが、ゆっくりと息づいています。
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